グロース株は単純にPER(株価収益率:株価÷一株利益)で考えると、極端に割高なように見えます。しかし、今後の成長を考慮に入れた場合には、現在の株価がそこまで割高とは言えない場合もあるかもしれません。
企業の期待利益成長を考慮に入れつつ株価を評価するひとつの指標としてPEGレシオがあります。
PEGレシオは株式のPERを成長率で割り算して算出します。下記で具体的に見てみましょう。
PEGレシオの計算方法
PEGレシオは下記の式で計算できます。
PEGレシオ = PER[株価÷EPS] ÷ EPS期待成長率
それぞれの計算要素を見ていきます。PEGレシオを計算するためには、まず、PERを計算する必要があります。PERは企業の株価を一株あたり利益で割って計算します。株価や一株あたり利益は、様々な金融サイトで簡単に入手する事ができます。
PERが計算出来たら、次は企業の期待成長率の情報を探します。ヤフーファイナンスなどのウェブサイトでアナリスト予想を見る事ができるので、そこから数字を拾ってきます。(アナリスト予想の見方はこちら)
PERについては確定値のため、データの正確性に議論の余地はありませんが、EPS成長率についてはどの数値が使われているかにより計算結果が全く異なるものになる可能性があります。
例えば、過去の利益成長率を使う事は、将来の大きな成長が予測される企業に対しては適切ではないかもしれません。また、将来の期待成長率を使う場合でも今後、何年間の期待成長率を使うかによって結果は異なってきます。1年なのか3年なのか、または5年なのか。
PEGレシオの計算の具体例
具体的な例を使ってPEGレシオを計算してみます。次の2つの架空の企業Aと企業Bがあります。
企業A
株価=50ドル
今期EPS予想=2.10ドル、前期EPS=1.80ドル
企業B
株価=80ドル
今期EPS予想=2.70ドル、前期EPS=1.80ドル
企業A
PER=23.8倍[50÷2.10]
利益成長率=16.7%
PEGレシオ=23.8÷16.7=1.4
企業B
PER=29.6倍[80÷2.70]
利益成長率=50%
PEGレシオ=29.6÷50=0.6
PERだけで比較した場合、A社の方がPERが低いので、割安という事になります。しかし、PEGレシオを計算してみるとB社の方がPEGレシオが低くなり割安という事になります。これは、A社よりB社の方が期待される成長率が高く、PEGレシオを計算する事により、その期待成長率の高さが考慮されるため、異なる結果となりました。
B社は成長率の割には割安な株価で取引されており、逆にA社はPERを正当化するほどの十分な成長率をもっていない可能性があると言えます。
どの程度のPEGレシオで株価が過小評価または過大評価されていると判断するかは、その企業が属する産業や企業のタイプにより異なります。一部の投資家の間で使われるざっくりとした目安としては、PEGレシオが1より小さい方が望ましい、1を超えてくると過大評価されている可能性がある、というものです。
まとめ
現在、GAFAMをはじめとする一部のテック企業の株価が大幅に上昇しています。これをPERでみた場合には、かなり割高な水準にきていると言えると思います。しかし、PEGレシオで見た場合には、必ずしも割高とは言えない可能性があります。
結局は、株価を評価する投資家が、企業の成長率をどのように見積もるかにより適正な株価は大きく変わってきます。企業の成長を正確に見通す事ができれば誰もが大金持ちになれるはずです。そしてそれが一番難しいから大金持ちになれる人は少ないのです。
ただ、PERだけを見て、割高だから買えないと思うのではなく、別の視点も必要なのではないかという話でした。
コメント