あのバフェットもやっている株式オプションのプット売りとは

資産運用

株式オプションと聞くと、リスクの高い投機的な取引という印象をもっている人も多いと思います。しかし、世界的に有名なバリュー投資家であるウォーレン・バフェットもオプション取引は実施しており、やり方を間違えなければ極端にリスクの高い商品というわけではありません。

その方法は、「プットオプションの売り」を行い、インカムを得るものです。

例えば、今、「ほしい株はあるけれども今の株価では高すぎるので少し下がったらその株を購入したい」という状況はよくあると思います。現物取引だけを行う場合であれば現在の株価より低い価格に指値を入れて株価が下がるのをただ待つだけですが、オプション取引を組み合わせる事により価格が下落するのを待ちながら同時にインカムを得る事が可能となります。

具体的な説明の前に、その前提としてオプション取引について簡単に説明したいと思います。

オプションとは何か?

オプションとは、特定の原資産(株式オプションであれば株式)を将来の特定の日付に特定の価格で買ったり、売ったりする事ができる権利です。

オプションには以下の種類があります。

  • コールオプション
  • プットオプション

コールオプション

コールオプションは、原資産を特定の日付に事前に取り決めた価格で購入する事ができる権利です。そしてコールオプションは、権利のみであり、購入しなければならないという義務はありません。

コールオプションを購入する人はどういう意図を持っているでしょうか?これから株価が上昇すると考えているのであれば、オプション取引ではなくその現物株を普通に買えばいいのではないかと思いますよね。

コールオプションを買う理由はいろいろあると思いますが、一つには現物株より小さい金額で購入する事ができるという理由が考えられます。また、特定の株について弱気の予想をしていたとしても、予想に反して株価が上昇する場合が考えられます。予想がはずれた時の保険のかわりとして、いくらかのコールオプションを買っておけば、利益のすべてを取りのがす事はなくなります。

プットオプション

プットオプションは、先ほどのコールオプションとは逆で、原資産を特定の日付に事前に取り決めた価格で売却する事ができる権利です。そしてプットオプションは、権利のみであり、売却しなければならないという義務はありません。

プットオプションを購入する人はどういう意図を持っているでしょうか?

基本的には、現物株を持っている場合に、株価が暴落した時の保険として、プットを購入します。保険料(プレミアム)を払ってプットを購入しておけば、たとえ株価が暴落したとしても事前に取り決めた価格で株式を売却する事ができます。

ウォーレンバフェットも使う、オプションインカム戦略

オプションを購入する人がいるという事は、その取引相手(オプションを売却する人)がいるという事です。バフェットも使っているオプションのインカム戦略は、このプットオプションの売り手になる事で実施する事ができます。

では、具体的な例を使ってみていきましょう。

まず、重要な点は、あなたが今、「この株価まで下がったら買ってもいいと思っている株がある」という時にこの戦略を実施するという事です。

あなたが今、A社株の購入に興味を持っていたとします。A社株が180ドルであれば購入してもいいと考えています。しかし、A社株の現在の株価は222ドルです。この価格では高すぎて買いたくありません。

ここで、プットオプションが登場します。あなたは2021年1月満期、行使価格が180ドルのプットオプションを一株あたり12ドルで売却したとします。(ちなみにオプション取引は最低100株単位からの取引になります)

プットオプションは「売る事ができる権利」なので、プットオプションの売り手は、買い手が権利を行使した場合、売る事ができる権利に対応する事になるので、株式を「買う」事になります。2021年1月の満期までに、株価が180ドル以下になれば、権利は行使されるので、あなたは180ドルでA社株を購入する事になります。

あなたは、もともと購入しようと思っていたA社株を180ドルで購入できて、さらに、1株あたり12ドルのプレミアムもゲットできる事になります。

もし、権利行使日までに株価が下落せずに180ドルより上にあれば、あなたはA社株を手に入れる事はありませんが1株あたり12ドルのプレミアムを手に入れる事ができます。これがもし、現物株の取引きだけであれば、あなたは180ドルに指値を入れて、株価が下がるのをじっと待つ事になりますが、待ってる間に、1200ドル(12ドル×100株)も収入を得る事はできません。

この戦略のリスク

もちろん、どんな投資にもリスクは必ずあります。もし、上記の例で、A社の株価が180ドルより大きく下回った場合、損失がどんどん広がっていきます。つまり、プットの売りを行う事により、現物の株式を持っていないにも関わらず、下落方向のリスクは、現物の株を持っているのと同じになってしまうという事です。

このため、大幅に下落した場合に、どうするかを、取引を行う前に決めておくことが重要です。一定レベルまで下落したら損切りするのか、または同時に空売りを実施する事で損失を固定するのか、など。

最後に、日本から海外送金なしで個別株の株式オプションができる証券会社はサクソバンク証券です。今のところ、サクソバンク以外は株式オプションには対応していません。

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