オプションボラティリティを異なる視点で見る

資産運用

オプションをトレードする人はボラティリティをよく見る事を好みます。多くのオプショントレーダーはVIX指数をいつもウォッチしています。そして、その時点でのインプライドボラティリティ(IV)の状況に応じたオプション戦略を考えています。

なぜボラティリティを見るかと言うと、ボラティリティはオプション価格に影響を与えるからです。インプライドボラティリティは現在の市場のオプション価格から、価格決定モデルを逆算して導き出されます。

ボラティリティと資金

もしボラティリティが20%であれば、それは理論的には、株価は現在の価格からプラスマイナス20%の間の株価に68%の確率で収まる事を意味します。

もしA社の現在の株価が600ドルであれば、その20%の変動はプラスマイナス120ドルになります。

もしB社の現在の株価が50ドルであれば、その20%の変動はプラスマイナス10ドルです。

利益(損失)の額がA社の方が高いからA社の方がB社よりもハイリスクハイリターンと言うわけではなく、A社とB社両方ともボラティリティは20%なのでリスクリターンの可能性は同じです。仮にB社株を12株保有すればA社とまったく同じ金額になるのでわかりやすいでしょう。

オプション価格モデルにおいても原資産の株価は、オプション価格の決定における重要な変数のひとつです。このため高額な原資産株のオプション価格は、低額な原資産株のオプション価格より、通常高くなります(他の変数が同じであれば)。

オプション取引においても高額な原資産のオプションの方が価格が高いからといって必ずしもより多くの利益を得られるというわけではありません。高額なオプションは資金的な要求(証拠金)が問題となります。

例えば、プットオプションの売り取引をするためには、原資産株価の〇〇%という形で証拠金が通常は必要となります。つまり高額な原資産を対象とするオプションは、一つのオプションに対して拘束される金額が大きくなるという事です。例えば、①単一の原資産を対象とする600ドルのオプションを一つ取引する事と、②同程度のボラティリティを持つ複数の原資産を対象とする50ドルのオプションを合わせて12個取引するのでは、総額で600ドルというのは変わりませんが、資産を分散できる分②の方がリスクは減ると考えられます。

ボラティリティの水準

例えば、A社株という株のオプションのインプライドボラティリティが40%だったとします。これは高いでしょうか、低いでしょうか?それはA社株の過去のボラティリティのレンジを見てみなければ何とも言えないです。過去のレンジと比較して現在の値がどこに位置しているのか、またA社と同様のセクターに属する他の企業の株と比較して高いか低いかを見る必要があります。このようにして確認したインプライドボラティリティの相対的水準が高いとき、オプションプレミアムは過大評価される傾向があり、逆に、インプライドボラティリティの相対的水準が低いとき、オプションプレミアムは過小評価される傾向があります。

まとめ

オプション価格決定の重要な3要素は、①原資産価格②満期までの時間、そして今回紹介した③ボラティリティです。これらを多面的に観察する事によって自分にとって適切なオプション戦略を構築する事ができるのではないかと思います。

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