政府が国家運営のために資金を必要とする時、通常は、自国通貨建てにより負債(国債)を発行する事により調達する事が出来ます。そしてその後、もし政府が国債の満期に資金を返済する事が難しくなった場合、政府はまた新たに国債を発行し、中央銀行にその国債を買ってもらう(実質的にお金を印刷する)事で問題に対処する事ができます。
この対処方法の欠点として、自国通貨の価値を減少させる可能性があるという点が挙げられます。この事は債券の保有者である投資家にとっても最終的に損失を与える事になります。
例えば、国債の利回りが5%だとして、インフレ等の理由により通貨価値が10%下落したら、投資家は損失を被る事になります。このような事を防ぐ目的で国債を外貨建てで発行する国が存在します。
外貨建て債務の発行はもろ刃の剣
外貨建て債務の発行は投資家にとってのインフレリスクを排除できるという点がある一方、政府にとっては為替リスクにさらされる事を意味します。自国通貨が下落すると、相応の外貨準備が無い限り、外貨建てによる債務の返済負担は大きいものとなります。
これは、結果的に投資家にとっての回収不能リスク(デフォルトリスク)に跳ね返ってきます。国債を発行している国は、デフォルトを起こしてしまうと、その国の国債の信用力は大幅に低下してしまうため何としても返済義務を履行しようとします。
しかし、実際にはアルゼンチンやベネズエラ、エクアドルなどでデフォルトは起こっています。
デフォルトリスクを評価する
国債のデフォルトリスクを評価するのは難しいことですが、投資家はいくつかの指標を使ってデフォルトリスクを評価します。
代表的なものは、「負債とGDPの比率」です。これは国債を発行している国の経済の大きさと比較して、その国の借金がどの程度かという事を見て、デフォルトリスクを評価するものです。この指標は役立つものではあるものの、常に正確にデフォルトリスクを予想できるものではありません。例えば、1980年代にメキシコとブラジルはデフォルトを起こしましたが、その時の政府負債はGDP比で50%にすぎませんでした。
一方、日本の政府債務はGDP比で200%レベルになっていますが、デフォルトを起こすような状態にはいまのところありません。
債務のGDP比以外に投資家が参考とすべきものとして、信用格付け会社の格付けがあります。ムーディーズなどの格付け会社は国債のデフォルトリスクを、経済成長の見通しや政治的なリスクなど、多数の要因を考慮に入れて評価しています。
また、一部の投資家は「政府債務と輸出額の比率」を重要な指標と考えています。輸出売により外貨を獲得する事は為替リスクに対してのヘッジとなるからです。
まとめ
新興国の高金利国債がドル建てで発行されていたら、すぐにでも欲しくなってしまいそうですが、デフォルトは新興国では決して珍しいことではないので、慎重に判断する事が必要です。
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