2020年3月23日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、FRBが間接的な購入の枠組みを使用してBBB-/Baa3の発行体格付を含む投資適格社債の購入を行う事を発表しました。
この事により投資適格債は、FRBによる、ある程度の買い支えが期待されるため、現在の市場の混乱状態の中でも、比較的、安心して投資できる商品と言えるでしょう。
そこで今回は、投資適格債券のETFを紹介します。
LQD(iシェアーズ米ドル建て投資適格社債ETF)
このETFは、投資適格社債に投資しようとしている投資家にとって、とても役立つ選択肢になります。資産ポートフォリオを組むうえで、一定程度の割合の債券を保有する事は、リスク分散の観点から不可欠です。
LQDの債券構成は、償還期限が長期のものから短期のものまで幅広く分散されています。もし、長期債への投資と短期債への投資を別々に保有したいのであれば、長期はVCLT、短期はSCPBというETFがあるのでこちらに投資すればよいでしょう。
また、LQDは、この後、紹介するAGGやBNDを保有する投資家にとって、ポートフォリオの分散化を強化するのに役立ちます。なぜなら、AGGやBNDは主に国債などの政府債の構成割合が高いため、併せてLQDを保有する事で、政府債と社債の両方にエクスポージャーを分散する事ができます。
AGG(iシェアーズコア米国総合債券ETF)
このETFは、米国の投資適格債に対して幅広く投資されています。長期投資家がバランスの取れたポートフォリオを構築するために使ったり、今回のコロナショックのような時には、短期投資家が株式から引き揚げた資金の避難場所として使われたりしています。
資産構成は政府債などが中心で利回りがやや物足りないところがあります。この記事を書いている2020年5月現在で、利回りは約2.5%です。社債に対するエクスポージャーを増やして利回りを向上させたい場合は、前述のLQDと合わせて購入するといいと思います。
AGGの銘柄抽出の戦略は、流動性が悪いものを避けるような仕組みになっています。これは、パフォーマンスの目標となるベンチマークから実際のパフォーマンスが乖離してしまう(トラッキングエラー)を引き起こす可能性があります。
しかし、流動性の安定という点に関しては信頼できるETFと言えます。特にコロナによる暴落の時に実感しましたがパニック相場においては特に流動性が重要となります。つまり、売りたいときにすぐ売れるという事がパニック相場においては普通のことではなくなってしまいます。
まとめ
今回紹介した投資適格債で構成されるETFは、米国株式を扱っているネット証券会社(楽天証券・マネックス証券・SBI証券など)で普通に購入できます。
長い目で見た時に、各国の中央銀行による債券の買い支えがいつまで続くのかはわかりませんが、コロナにより経済が大きなダメージを受けている現在の状況を考えると、回復には時間がかかりそうですので、少なくともその間は、買い支えが続きそうな気がしています。
いずれにしても安定したポートフォリオの構築に債券は欠かせませんし、それを少額から実現できるETFは有用なものと考えています。
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