米国の債券市場では、「バブル」の話題が盛り上がっているようです。
この事について、配当株投資ではおなじみの有名な学者である、ジェレミー・シーゲルさんも記事を寄稿しています。
私の現在のポートフォリオの大部分は、債券系のETFが占めており、しかも、ハイイールドのジャンク債ETFなんかも結構、保有しているので、債券市場の今後の成り行きが心配でなりません。
「知らない」という事が恐怖を増大させる。という事で、精神を安定させるためにも、債券バブルというものが何なのかについて調べました。
債券バブルとは何か?
一般的にバブルは、株や債券が本来の価値よりもはるかに高い価格で取引されて作り出されます。
そして、最終的にバブルは儚く終了します。
資産価格は現実的な水準まで下落し、乗り遅れて相場に入った投資家は大きな損失を被る可能性があります。
過去のバブル
過去のバブルで有名なのは1630年代に起こったオランダのチューリップバブル。
チューリップの価格が高騰するなんて驚きですよね。
他にも、1720年、イギリスで起こった南海会社株式のバブル。1840年代のアメリカの鉄道株バブル。狂騒の20年代と呼ばれた1920年代のアメリカ株式市場の暴走。
そして、日本では1980年代の株式、不動産のバブル。こちらもみなさんご存じのように見事に、はじけましたよね。
より最近のものでは、アメリカでの2000年、2001年のドットコムバブル。そして2000年代中盤の不動産バブルなど。
どれも最終的には、はじけて終わり、その後、経済的な弱さは長引く事になりました。特に日本はバブル崩壊の後遺症からなかなか立ち直る事ができず、現在の日経平均株価もバブル時の高値には遠く及びません。
本当にバブルなのか?
2020年現在においても債券市場バブルの話題は盛り上がっていますが、実は2018年にも債券バブルではないかと、話題になった事があります。
それは2018年の3月ごろで、その時の米国10年債の利回りは3%弱まで上昇していました。
2か月後の2018年5月ごろ、バブルと言われていた債券価格は、特に話題の焦点となっていた社債価格に関しては依然としてそのままの水準を維持。
その一方で、リスクフリー資産である米国10年債の利回りは、2016年の7月以降、1.72%ポイント増加していました。
米国債券市場のバブルの話は、2013年以降メディアでよく言われるようになったようです。その背景には、2010年に米国債の利回りがとても低い水準まで低下し、さらなる低下の余地はあまりなかった事があります。
(債券の価格と利回りは、反対方向に動く関係があるので、利回りが低いという事は債券の価格は高いという事です。)
低い利回りの原因は、FRBが実施した超低金利政策です。そして経済が回復し、雇用の水準も上昇すると、今度は、FRBはすぐ利上げを始めます。利上げが実施されると、人工的に作られた利回りの下向き圧力は、取りのぞかれ利回りは上昇します。
そして同時に債券価格は下落。という流れになります。
過去の経験からも、将来的には現在よりも国債利回りが上昇する可能性は高いと思われます。そして、それは長期間にわたる可能性があります。株式のバブルの破裂のように短期間に一気に動くという事はほとんど発生しないようです。
しかし、米国債が下落しない(利回りが上昇しない)事を支持する例もあります。
それは、日本の債券市場です。日本は、数年前にアメリカが経験した事と似たような事をもっと前に経験済みです。
日本は1990年代に経験しています。1997年後半に10年国債の利回りは2%以下へと下落し、それはいまだに回復していません。
今後のアメリカが、日本と同じようになるかはわかりませんが、長期的な過去のデータによると債券の大きな下落というのは、かなり稀にしか起こらないようです。そして、下落したとしても下落幅は比較的、限定されたものになる可能性が高いです。
1928年からの米国30年債のデータでは、損失になった年は、トータルで15年で、その損失も大きいものではありませんでした。
国債以外の債券について
バブルと言われているのは国債市場だけではなく、社債やハイイールド債についても言われています。
これらの債券の評価は国債と比較した場合の利回りの差(イールドスプレッド)に基づいて論じられます。
これらのスプレッドが歴史的に低い水準に低下しており、背景に、利回りを求めた投資家が不当に高いレベルまで価格を押し上げているのではないかとの懸念があります。
これはバブルの状況を示すものでしょうか?
結局、将来の事は誰にもわからないので、過去の歴史を参考にするしかないのですが、過去に基づくならば、大きな下落の可能性は比較的低いと言えます。
JPモルガンのハイイールドインデックスによると、1980年代以降で、ハイイールド債が下落した年は、わずか4年だけ。
下落のうち、一つは非常に大きいもの(2008年のリーマンショックの時に27%下落している)で、その他は1990年に-6%、1994年に-2%、2000年に-6%と比較的小さな下落にとどまっています。
また、国債、社債、その他グレードの米国債が含まれている The Barclays Aggregate U.S. Bond Index の過去の推移では、過去38年間のうち32年間で堅調でした。つまり、長期投資家にとっては、あまり心配する必要はないのではないでしょうか。
まとめ
- 国債価格の水準を見るとバブルと言えなくもない
- 過去の歴史を見ると、下落したとして株式のような短期間での急落は稀にしか起きない
- なんやかんや言って長期的な目線では、債券はポートフォリオに安定性をもたらすと言えそう
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