マディ・ウォーターズという超刺激的な空売り調査会社

資産運用

中国のスタバと呼ばれるコーヒーチェーンである「ラッキンコーヒー」の米国市場に上場する預託証券(ADR)の株価が爆下げしました。

これは同社での粉飾会計が発覚したからなのですが、この粉飾の実態を明らかにしたのがマディ・ウォーターズ・リサーチという調査会社です。

このマディ・ウォーターズは、中国株の空売り屋として有名で不正や粉飾の疑いのある企業を調査して、調査レポートを公開する前に自らその企業の株を空売りして、その後の株価の下落から利益を得ている会社だという事です。

今回のニュースでこのマディ・ウォーターズにとても興味を持ちましたのでちょっと調べてみる事にしました。

空売り屋、マディ・ウォーターズ

マディ・ウォーターズはこれまで、数十社について粉飾などの調査レポートを公開しており、少なくともそのうちの8件が、調査をきっかけとして司法当局が捜査に動き、その結果として4社が上場廃止になっています。

調査レポートは、粉飾に関するものだけではなく、ビジネス上の不正や企業のファンダメンタルな問題に言及するものもあるそうです。

マディ・ウォーターズの日本語ウェブサイトを確認してみると、東証一部に上場するペプチドリーム(4587)のファンダメンタルな問題に関するレポートが公開されていました。一部では日本企業の調査も行っているようです。

どのように調査しているのか具体的なところは謎に包まれていますが、会計士や熟練された調査員を雇い、時には外部の調査機関も使って、徹底的な調査を行っているようです。

例えば、調査対象の企業の主張のとおりに商品の出荷が本当に行われているのかを確かめるために、調査員が配送トラックを尾行する事もあるそうです。かなり泥臭い事もやっている印象です。

前述のラッキンコーヒーの調査においても、1000人以上の調査員を派遣して実際の店舗での調査を行い、その調査の全課程を録画したそうです。

このマディ・ウォーターズの創業者はカーソン・ブロックという人物です。彼は中国でのビジネス経験があり、父親の依頼で中国企業のオリエントペーパーを調査し、不正を発見しました。

それをきっかけに、不正を行っている中国企業は他にもたくさんあると確信し、この調査会社をはじめたそうです。

このカーソン・ブロックが先日、ブルームバーグのインタビューで言っています。

経済が不況に陥り、資金調達が困難になってくると不正をしている企業がどんどん明るみになってくると。

前述のラッキンコーヒーのCOOが不正を認めてから一週間もたたないうちに、TAL Education Groupという教育ビジネスを行っている中国企業の不正が明らかになりました。このTALもカーソン・ブロックの空売りのターゲットになっています。

架空の売上で粉飾しているような企業は、経済が悪化して、資本市場や借入市場からの資金調達が難しくなってしまうと事業が回らなくなってしまうので、不況の時には不正が発覚しやすいという事です。

大きな利益を上げているにも関わらず配当を払わない企業、多額のフリーキャッシュフローを生み出していてキャッシュに困ってないはずなのに外部資本の調達をやめない企業、帳簿上は多額のキャッシュを持っているにも関わらず、多額の負債も持っている企業、このような企業は用心深く見た方がいいとの事です。

まとめ

企業分析というのは、今後成長する企業を見つけるためにあるという固定観念を持っていましたが、逆に、問題のある企業を見つけ出し、その企業を空売りするという事も投資手法の一つであり、そのために企業分析を行ってみるのも面白いかもしれません。

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