- グロース株とは平均的な他の企業と比べてより急速に利益や売上を増加させる事が期待されている株。
- 普段の生活の興味関心から意外なグロース株が見つかる事も。気になる分野があれば株式スクリーニングツールも使って投資したいグロース株を探そう。
- グロース株は、すでに株価が割高になっていて何かのきっかけで急激に下落するというリスクもあるので注意が必要。
グロース株投資と言えば、一攫千金を夢見る株式投資家にとっては、まさに株の醍醐味といっていい投資分野ではないだろうか。
初期段階のグロース株を発見する事ができれば株価10倍、100倍も夢ではないのだ。
しかし、私はというと、今まで配当株を中心とした非常に保守的な投資を行ってきており、グロース株投資にはあまり目を向けていなかった。食わず嫌いはよくないと今回、ポートフォリオの一部にお気に入りのグロース株を入れるため、グロース株投資について学んだ事を紹介したいと思う。
グロース株とは?
英語で書くとgrowth stockで、直訳すると成長株。つまり、平均的な同業他社、もしくは市場全体と比較してより急速に利益や売上を増加させる事を期待されている企業の株だ。
株式市場においては、株価を一株あたり利益の何倍という形で評価する事がよくあるので、通常、利益成長が早ければ株価もそれに応じて早く上昇する。このような成長の波に乗っかろうというのがグロース株投資だ。
グロース株はどこで探すか?
グロース株の中には数十年前には存在すらしていなかった企業が多くある。
今ではおなじみのアマゾンやネットフリックスも市場においては小規模プレーヤーとしてスタートした。その後の大幅な成長は言うまでもない。
どのようにしたらネクストアマゾンやネクストネットフリックスを見つけられるだろうか。
一つの方法は、自分の生活習慣の中から関連する株を発掘する事だ。
例えば私の場合でいうと、少しベタかもしれないが、数年前と比べてテレビを見る時間が格段に減り、代わりに動画は定額制のストリーミングサービスやyoutubeなどの無料動画サービスで見るようになっている。
このような場合、ネットフリックスやHulu、アマゾンプライムといったストリーミングサービスについて自然と詳しくなっているのでそこから株式投資に着想を得る事ができるだろう。
また私は最近、シェアリングサービスもよく利用しており、特に自家用車を手放したためカーシェアリングサービスを頻繁に利用している。
このような場合、日本でいうとカーシェアサービスのタイムズカープラスでおなじみのパーク24株式会社のような企業を調べてみるのも面白いかもしれない。
グロース株を探す別の方法として、マクロ視点の社会トレンドに目を向けておく事も重要だ。
株価を上げているグロース株は、社会の大きな変化から利益を得ている傾向がある。ようは時代の流れにうまく乗っかっている企業だ。
そしてその流れが、社会的なスタンダードとなった時に業界における地位を獲得している企業は莫大な売上や利益を手にする事ができる。
ここでいくつか現代のトレンドで私が気になっているものをあげる。
- 健康・フィットネス
近年、アメリカでも日本でも健康的なライフスタイルを求める人が増えている。このトレンドは様々な企業に影響を与えるだろう。
例えば、食品。
オーガニック食品や、2019年に上場したビヨンドミートで有名な、植物性の成分で作った疑似肉を作っている企業など。ベジタリアンだけではなく健康に気を使っている人が肉の代用として購入しブームになっている。
また、健康を維持する事を目的としたスポーツ人口が増える事からスポーツウェアやシューズメーカー、また、フィットネスジムを運営する企業などにも影響を与える。
その他、投資家がこのトレンドを活用できる方法は様々あるだろう。
- キャッシュレス化
キャッシュレス化が遅れていた日本においても、消費増税に伴うキャッシュレス支払い時の5%還元がスタートした影響もありキャッシュレス化が進んでいる。
私も、もともとは現金派であったものの、いよいよ現金で支払っているとポイント還元等でだいぶ損する事になってきたので、クレジットカードやpaypayやlinepayといった決済サービスでほとんどの支払いをするようになった。
ここで、キャッシュレス化にそこまで伸びしろがあるのかと疑問に思ったあなた。
実は、世界レベルでみると、世界の取引の85%がいまだに現金や小切手によるものなのだ。
今後、キャッシュレス化の流れは世界的に広がる事は間違いなく、このトレンドから利益を得ている企業の成長可能性も高いだろう
株式スクリーニングツール
株式のスクリーニングとは、様々な条件にあてはまる株を絞り込んでいく事だ。
賃貸の物件を探すときに、家賃や駅からの距離、間取りなどの条件をつけて当てはまった物件から選ぶのと同様だ。
無料で提供されているスクリーニングツールはいくつもある。
例えばFinvizなどがある。
投資家は、自分が投資すべき株を見つけるために様々な条件を設定して、株を絞り込むことができる。
考慮すべき条件はいくつもあるがグロース株を検索する際に注意すべき点をいくつかあげる。
- 時価総額
時価総額は企業の規模を測定するのにてっとり早い方法だ。一定以上の規模がないと倒産のリスクや流動性のリスクが高まりやすい。
アメリカ株であれば少なくとも時価総額が3億ドル以上は欲しいところだ。
時価総額の条件をスクリーニングでつける事で、規模の小さい企業を排除する事ができる。
- 収益性
一貫して利益を出しており、すでに黒字化しているグロース株の方が赤字の企業よりリスクは少ないといえる。
収益性をスクリーニングする方法はPERの条件をプラスの企業とする事。これにより赤字企業を検索から排除する事ができる。
- 売上成長
利益の源泉である売上の成長なくして何年にもわたる持続的な企業としての成長はありえない。
- 予想利益成長率
アナリストの予想のコンセンサス。アナリストは今後数年の予想成長率を記載したレポートを発行する。
必ずしもその通りになるわけではないが、そこから市場の期待を読み取ることができる。
- セクター
先ほど記載した自分の生活に近い株を探すという点とも重なるが、自分があまり理解できないような業界に投資する事はできるだけ避けるべきだろう。
それは人それぞれ異なるものなので、自分が興味関心を持つことができるセクターに絞って投資を行った方がよいだろう。
- 貸借対照表(バランスシート)
企業の財務面にも目を向ける事が重要だ。
莫大な金額の負債を抱えている企業は財務面においてリスクが高いと言える。負債比率に条件をつける事で、財務健全性の高い企業を検索する事が可能だ。
負債比率は、「企業の負債合計 ÷ 株主資本」で求める事ができる。
目安としては30%未満である事が望ましい。さらに低ければよりいいだろう。
上記に挙げた観点を念頭において、アメリカ株でスクリーニングの例を作成してみよう。
Ex)
・時価総額が3億ドル以上
・過去12か月で黒字(PERがプラス)
・今後12か月の利益予想が黒字(予想PERがプラス)
・過去5年間の利益成長がプラス
・売上増加率が過去5年間で10%以上
・負債比率(負債÷株主資本)が0.1以下
・今後5年間の期待利益成長率が15%以上
この条件を設定してFinvizでスクリーニングした結果トータル44企業が該当した。
下記にそのうち時価総額上位10社の時価総額と業種を参考までに記載する。
・Alphabet $882.67B インターネット情報サービス
・Facebook $549.13B インターネット情報サービス
・Visa $391.34B クレジットサービス
・ServiceNow $47.33B 情報技術サービス
・TAL Education Group $25.71B 教育・訓練サービス
・Veeva Systems $22.63B ヘルスケア情報サービス
・CoStar Group $20.59B 資産管理
・Interactive Brokers Group $19.65B 資産管理
・Align Technology $19.44B 医療機器
・Arista Networks $18.89B コンピューターシステム
グロース株のリスク
グロース株への投資は魅力的ではあるが、投資家が認識しておくべき留意点もある。
企業が急速に利益を増加させると、市場はその企業に対しとても高い評価を与え、通常株価も急速に上昇する。
そして、この事は、株価が逆に急激に下落するリスクを増大させている。
企業が投資家の期待に応えられなくなった場合、株価は急激に下落する。つまり、すでに高評価を受けていて株価が高い水準にあるため、コケたときの株価に対する影響も大きいという事だ。
これが、グロース株投資をする際に企業のファンダメンタルを入念に調査する必要がある理由だ。
例えば、S&P500全体のPERの水準はおおよそ20~23倍なのに対してグーグルを運営しているAlphabetは25倍、Facebookは31倍、Visaは35倍といった具合だ。
また、グロース株は通常、市場全体が波乱の相場となっている時に、他のバリュー株(割安株)などと比べて株価に受ける影響が大きくなる傾向がある。
つまりボラティリティが高いという事だ。
あなたがもしボラティリティにより不安になりやすい性格だったとしたら(これは自分もそうなのだが)あまりグロース株投資には向かないかもしれない。
やるとしても精神的な影響を少なくするために、ポートフォリオの中の限られた一部において行うのが賢明だろう。
まとめ
グロース株投資は、宝探しのようで面白いが、反面リスクも結構高い投資なので慎重に行おう。
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