PBRは割安株を探し出して投資をするバリュー投資家に人気のある指標です。PBRは、ある株式が過小評価されているかどうかの一つの基準を投資家に提供します。
PBRとは
PBRは、企業の時価総額と純資産とを比較するもので、実際に計算するときは、それぞれの一株当たりの数値を使用して計算します。
純資産は、企業の総資産から総負債を引いたものです。これが意味するところは、もし企業が今の時点で資産のすべてを処分し、負債をすべて返済した時に、企業に残る財産の価値を表しています。
これを時価総額(株価×発行済み株式総数)と比較するという事は、現在の株価が企業の解散価値に対してどの程度の倍率で評価されているかを示していると言えます。
PBRの計算
PBRの計算は一株当たりの指標が用いられます。
PBR(株価純資産倍率) = 株価 ÷ 一株あたり純資産
どのように使うか
PBRが1を下回るという事は、株価が企業の解散価値よりも低く評価されているという事ですから、過小評価されているという事になります。しかし、それで単純にお買い得な株かというと、そうではなくて、その企業になにか根本的な問題があるから株価が安値で放置されている可能性もあります。
このため、PBRは単独の評価指標として使うのではなく、他の評価指標と組み合わせて使った方がよいでしょう。
PBRを補足するために一般的に使われている指標にROE(株主資本利益率)というものがあります。ROEは株主資本から企業がどのくらいの利益を生み出したかを表しています。
PBRとROEは通常は相関関係があり、もし両指標に大きな相違があるという事は、その企業に何か懸念すべき事項がある事を示唆しています。
S&P500のPBRはどのくらいか
ところで、前述のとおりPBRは1倍を割れると会社の清算価値未満という事になりますので、国の主要な株価指数がPBR1倍を割れる事はないだろうと思われていたところ、日本の株式市場の主要な株価指数である日経平均株価のPBRが、今回のコロナショックに関連する急落により0.8倍台まで下落してしまいました。
一方で、米国株の代表的な株価指標であるS&P500指数の現在のPBRは下記のチャートが示しているように2.95という事です。現在の指数の水準から考えるとPBRの1倍ラインは約902となります。ちなみにリーマンショックが直撃していた2008年の12月のS&P500のPBRは2.00です。
S&P500のPBRが1倍を割るには株価がこれから3分の1くらいにならないといけない訳で、それはあまり現実的ではありませんが、リーマンショック時の値ぐらいまでは、今回のコロナショックによる下落を想定しておかなければならないかもしれません。そうなってくると1800ぐらいまでは下落する事になります。
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