米国10年債の利回りが、歴史上、過去最低を記録したと話題になっています。
世界の債券市場の規模は1京円以上あると言われています。京とか言われると、よくわからない数字ですね。ちなみに世界の株式市場の規模は6400兆円と言われています。
安定した資産運用のためにはポートフォリオに債券を組込む事が欠かせません。そこで、債券の事を知るために、そもそも債券の利回りはどのような要素により決定されるのかを紹介したいと思います。
インフレーション
債券の利回りを説明する上で、インフレーションは欠かす事ができない要素です。
一言でいうと、物価の変動です。
日本では数十年にわたり物価が上がっていませんので感覚的にわかりにくいのですが、インフレしている場合に、お金をタンス預金しているだけではお金の価値は下がってしまう事になります。
債券も同様に、利回りが、最低でもインフレ率以上でなければ持ってるだけで価値が目減りしている事になります。このため、通常は、債券の利回りはインフレ率よりも高くなります。
ほとんどの場合、インフレについて議論される時は、「消費者物価指数」の事を指します。
実質金利
金利(利回り)の構成要素のもう一つは実質金利です。
これは資金の貸し手が求める、インフレ率を超える分の報酬です。資金の貸し手は、お金が返ってこないかもしれないリスクをとってお金を貸します。また、もしお金を貸していなかったとしたら何か別の事に使えていたわけなので、それをあきらめた分の補償という事も出来ます。
この実質金利の部分が個々の債券のリスクに応じて変わってくるので、債券の種類によって利回りが違います。
では、この実質金利を決める要因にはどのようなものがあるでしょうか?
流動性リスク
流動性リスクは一言でいうと、満期前に簡単に売却できるかどうかという事です。
債券を満期まで保有するというのであればいいのですが、満期前に現金が必要になる場合もあるかと思います。その場合に、簡単に買い手が見つかるのか、かなり大きな割引きをしないと買い手が見つからないのかにより投資家が求める利回りは変わってきます。
普通に考えたら、流動性が低い方が投資家にとってはリスクが高いので、求める利回りもそれに応じて高くなるはずです。
信用リスク
信用リスクは一言でいうと、ローンや債券がスケジュール通りに返ってこない、または全く返済されないリスクです。
基本的に、政府が発行している国債や地方債は、信用リスクが極めて低い、または無いと考えられています。新興国においては、国債が債務不履行になる事もあるので、少なくとも先進国に関しては、信用リスクはほぼ無いと考えられます。
一方で、企業が発行する社債に関しては、利息や元本が返済されるかどうかは、その企業のビジネスが成功するかどうかに掛かっていますので、信用リスクは存在します。
投資家は、発行体企業の借入の返済能力を評価するために、よく信用格付け会社を利用します。信用格付けが低いほど、債務を返済できない可能性が高いと評価されているという事なので投資家が求める利回りは高くなります。
まとめ
債券と一口に言っても、高リスクの商品も低リスクの商品もあるので、ひとくくりに債券は株式よりはリスクが低いと言う事はできません。
利回りの高い債券には利回りが高いだけの理由がちゃんとあるので、中身をきちんと吟味する事が重要だと言えます。
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