EPS(一株当たり利益)は企業の収益力を表すものです。
一般的に考えれば、EPSが増加するという事はその企業の株価にとってはプラスの影響を及ぼしそうですよね。
これは、おおむね当てはまる事が多いですが、時としてEPSが増加したにも関わらず株価は下落するような場合もあります。
ここでは、EPSと株価の関係についてまとめたいと思います。
EPSと取引量の関係
企業の決算報告や四半期報告で利益が公表される時、投資家は、いつもより多くの注意をその企業に対して向けます。利益発表があるとその直後、または数時間かけて、株価が上昇する事があります。
一般的に、株価が上昇した時、その企業の株式の取引量は多くなっています。それは、投資家が通常時よりも頻繁にその株を売買している事を意味しています。
一方で、株価が下落する場合は、一般的には取引量の減少を伴います。決算発表のタイミングでその企業の利益に焦点が当たっている時は、その企業にいつもより投資家の関心が向いているので、発表の結果がポジティブであろうとネガティブであろうと取引量が多くなり、株価が高くなる可能性があります。
予想値との比較
投資家は、企業がEPS予想を達成する事ができたかについても強い関心を持っています。単純にEPSの数字自体が増加する事も大事ですが、企業が設定した一定の基準をクリアできているかという事も投資家は気にしています。
EPS予想は大きく分けて2種類あります。
米国株の場合、一つはウォールストリートのアナリストが提供する予想、もう一方は、その企業自身が発表する予想です。
企業自身が発表するEPS予想は、アナリストを特定の数字の方へ誘導しようという意図が働く場合があるという事が、2012年のUSAトゥデイの記事で書かれています。
企業利益が、アナリストのEPS予想を達成する事が出来なかった場合、株価は下落する傾向があるため経営者にそういう意図が働く場合があるのでしょう。気を付けなければいけません。
逆に、企業のEPSがウォールストリートのアナリストの予想を上回る場合には、株価が上昇する事は珍しくありません。例えば、2013年、ホームセンター大手のホームデポのEPSは前年の実績およびアナリスト予想を上回りました。その時の株価は、約6%もの上昇を見せました。
その他の懸念事項
企業の利益が発表されたタイミングで、より大きな懸念事項が市場全体を覆っており、投資家の関心がそちらに向いている場合、たとえEPSが予想値を上回っていたとしても株価は上昇しない場合もあります。
例えば、2011年の第3四半期、S&P500インデックスの構成銘柄の半数以上の企業がEPS予想を上回りました。それにも関わらずインデックスの株価の平均は0.4%下落しました。投資家は、企業のパフォーマンスよりも当時のユーロ経済の先行きの不確実性に反応した形となりました。
EPSと株価の過去の推移
色々と書きましたが、長期的な目線で言えば、株価の上昇にはEPSの継続的な増加は不可欠です。過去の推移を確認して、EPSと株価の関係を見てみたいと思います。
上記の表は、S&P500インデックスの2003年をそれぞれ100と仮定した場合の、EPSと株価の推移を表しています。これを見るとEPSの成長と株価の成長が連動している事がわかります。
現在の株式市場は、中央銀行の緩和政策が生み出した金融相場なんて言われていますが、企業の実際の利益成長がなければ株価の長期的な成長はないという事は間違いないので、企業業績にも注目が必要です。
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