コロナ禍の対応のために各国の中央銀行が、金融緩和を実施し、それに伴い中央銀行のバランスシートは急激に拡大しています。
その中で、今後、デフレになっていくのかインフレになっていくのかは、意見の分かれるところですが、個人的にはどちらかの可能性だけにすべてをベットするのではなく、どちらになっても大丈夫なようにポートフォリオを管理したいと思っています。
そこで、今回はインフレヘッジのための商品として米国の物価連動国債に投資できるETFを紹介したいと思います。
物価連動国債とは
米国の物価連動国債はTIPS(Treasury Inflation-Protected Security)と呼ばれています。
TIPSはインフレ率が上昇した場合に、その実質的な価値が維持されるように価格が調整されます。金利は、固定の利率で計算されますが、インフレが調整された後の元本に利率を掛けて計算されるため、支払額は変動する事になります。
つまり、インフレが起きた場合は元本も利息も増加し、デフレが起きた場合には元本も利息も減少します。
TIPSは満期が5年、10年、30年のものがあり、通常の国債と同様に米国政府による保証があるためリスクの低い投資と考えられています。
TIPSの満期時に償還される元本については、インフレ調整後の元本、または発行当初の元本のいずれか高い方の額で償還されます。つまり、もしデフレにより調整後元本の方が発行当初の元本より小さくなっていたとしても、発行時の元本で償還されるという事です。
TIPSの利率は、通常のインフレに連動しない国債や社債と比べると低いものになります。このため、利息収入を目的としたインカム投資家にとっては魅力的な商品ではないかもしれません。あくまでTIPSの目的はインフレヘッジという事になります。
最近は世界的に低インフレが続いているので(特に日本)、低インフレに慣れきってしまっていますが、人生の中で一回くらいは高インフレな時期が来たとしても何もおかしな事はありません。
iシェアーズTIPS債券ETF(TIP)
TIPS自体に日本から投資するのは難しいですが、TIPSに投資できるETFがあるのでご紹介したいと思います。
iシェアーズTIPS債券ETF(TIP)は米国の物価連動国債であるTIPSに間接的に投資する事ができます。TIPSに投資できるETFはいくつかありますが一番、取引量が多く流動性が高いのがこのETFです。
TIPSは満期が5年、10年、30年とありますが、すべての満期の国債が満遍なく構成されています。利回りは1.6%で、やはり、低めであります。
利息をすべて再投資にまわした場合のパフォーマンスの推移は上記の通りです。2003年から倍近くになっています。インフレ率が低いと言っても日本と違いアメリカは、基本的には1~2%ぐらいのプラスのインフレ率なので、このようなパフォーマンスとなっています。
日本人が投資する場合は、日本がデフレなので結局円高になるという為替リスクがあるので、そこが微妙なところなのですが、為替リスクもFXなどを使ってヘッジしつつポートフォリオに加える事を検討してみるのはおもしろいかもしれません。
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