なぜ逆イールドがリセッションを予言すると言われているのか

資産運用

世界景気や世界経済を見る上で、債券利回りの動向を把握する事は必要不可欠です。これは債券投資家に限った事ではなく、株式投資をやる場合についても同様です。

債券の利回りに関して「逆イールド」というレアな現象が起こる事があります。このレア現象が示す事について紹介したいと思います。

逆イールドとは何か

これから記載する事は、基本的に米国政府によって発行された国債を前提としています。

イールドカーブとは短期債券と長期債券の利回りの関係を表すものです。通常、短期金利は長期金利よりも低くなります。

このため、イールドカーブは右肩あがりに上方に傾斜する事になります。逆イールドは、この関係が逆になった時に起こります。

つまり、短期金利の方が長期金利よりも高くなった場合の事を言います。

それは、かなりレアな状況であり、リセッションが差し迫っているというシグナルになると言われています。

なぜ逆イールドが起こるのか

通常、長期金利の方が高くなるのは、長期債券に投資する投資家の方がより多くのリターンを要求するためです。

イールドカーブが反転するという事は、投資家が短期的な経済に自身がない表れという事ができます。

投資家は短期債が満期で償還されると、その現金を別の投資対象に再投資する事になります。その時に、景気が悪化していると再投資に値する商品がなくなってしまう恐れがあるので、短期的な経済の見通しが悪化していると考えた時に、長期債を買う事を好み、結果として短期債の利回りより長期債の利回りの方が低くなります。

リセッションは過去の平均で18か月程度続きます。もし、投資家がリセッションが差し迫っていると考えるならば、2年間ぐらいは安全な投資対象を求めるでしょう。

これは満期が2年未満の債券の人気がなくなって利回りが上昇する事を意味します。その結果、逆イールドが発生します。

最近の状況

最近で、イールドカーブが反転し始めたのは2018年からです。

2018年12月、米国債のイールドカーブは反転しました。

5年債の利回りが2.83%、3年債の利回りがそれよりわずかに高い2.84%となり、長短の利回りが逆転しました。当時、FRBがFF金利を2020年までに3.5%に上げると発表しており、これが経済減速のトリガーになるのではないかと投資家が心配しました。

単純化して言えば、「これから3年くらいは景気が悪化するかもしれないが、5年ぐらいでは回復するだろう」と投資家が考えたと言えます。

2019年3月には、10年債利回りは2.44%に下落、この時の3か月物の債券は2.46%とここでも逆イールドが発生しました。

2019年8月には、10年債利回りは1.65%まで下落し、1年債と2年債と利回りを下回りました。FRBは方針転換を行い、利下げを行いました。投資家は米中の貿易戦争を原因とするリセッションが起こるのではないかと心配していました。

過去の逆イールド

2001年、1991年、1981年のリセッションの前に逆イールドは起こっています。また、2008年のリーマンショックの2年前にも逆イールドは発生していました。

住宅市場のバブルを懸念したFRBは2004年6月からFFレートを引き上げていっていました。2005年12月までにFFレートは4.25%にまでなっていました。

この事が2年債の利回りを4.41%まで引き上げた一方、10年債の利回りは上昇せず4.39%どまりだったので、ここで逆イールドが発生しました。

その後もFRBは利上げを続け、イールドカーブは反転とフラットを行ったり来たりを繰り返しました。そして、その後、住宅バブル崩壊、リーマンショック、リセッションという流れとなりました。

このように過去の歴史をみると、リセッションが起こる前に逆イールドが発生している事がわかります。現在、コロナショックで市場は大荒れとなっていますが、このまま世界経済はリセッション入りをしてしまうのでしょうか。

注意が必要です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました