NBAがデータ分析により大きく変化

バスケ

八村塁選手がドラフトされた事により、日本でもアメリカのバスケットボールリーグであるNBAの人気が高まっています。私は、子供のころからのNBAファンで今でもよく試合を見ます。

NBAに詳しい方であれば、近年のNBAは目覚ましく変化している事をご存じかと思います。

この変化に関して、大きな役割を果たしているのがデータ分析です。チームは新しい戦略を開発して、優勝争いのできるチームにするためにあらゆるデータを利用するようになりました。

ほんの10年くらい前までは、一部のチームがフロントオフィスに分析チームを持っていいただけでした。しかし、今日、NBAのほとんどすべてのチームがデータアナリストを雇いフロントオフィスに分析チームを持っています。

データ分析は、ルーキーのスカウティングや掘り出し物の選手の発掘、効率的なシュートの計算など、あらゆる面で利用されています。

データ分析は革命的な変化をNBAにもたらしましたが、一方でそれを批判する人たちも少なくありません。たとえば元NBA選手で現在はコメンテーターをしているチャールズ・バークレーはデータ分析に批判的です。

ヒューストンロケッツのデータ分析

データ分析主導のバスケットボールを推進した人物の一人として、ヒューストンロケッツのダリル・モレーGMがいます。

彼は、データ分析により統計学に基づいて戦略を立てて実行しました。そしてコメンテーターやファンから多くの批判を受けました。

ロケッツのプレースタイルは、統計的に優位性のあるプレーを何度も繰り返し実行するものでした。確かに、個人的な意見としても、同じようなプレーが続くので、見ていてちょっと飽きるかなというのはあります。

ロケッツの戦略はコーナーからのスリーとペイントエリアを徹底的に攻めるというものです。

しかし、批判がありながらも近年のロケッツは毎年、優勝争いをする強豪チームとなりました。2017-18シーズンには、けが人がいたにも関わらず、ウェスタンカンファレンスのファイナルに進出しました。

また、1シーズンでのスリーポイント数の記録を作り、1位シードも獲得しました。

スリーポイントの増加

データ分析主導のバスケットボールになって、最も大きく変化したのは、スリーポイントシュート数の増加です。

アナリストがどのシュートがチームを勝利に導く可能性が高いのかを調査・分析した結果、効率の悪い、長距離の2ポイントシュートが多く打たれていたことがわかりました。スリーポイントラインのちょっと手前ぐらいからのミドルシュートの事です。

確率の悪い2ポイントを打つくらいなら3ポイントを打った方が効率がいい事がアナリスト、コーチ、そしてリーグ全体の共通認識となっていきました。

統計的にいうと、平均以上のそれなりにいいシューターであればスリーポイントの決定率は35%程度はあります。3ポイントは2ポイントの1.5倍のリターンがあるので長距離の2ポイントとスリーポイントのシュート確率がそんなに変わらないのであればスリーポイントを打つ方が価値があるという事になります。

NBAの一試合当たりスリーポイントシュート数は年々増加していき、1998年と比較して10本以上増加しています。

ステフィン・カリーとウォーリアーズ

スリーポイントと言えば、ゴールデンステートウォーリアーズに所属するステフィン・カリーですよね。

ウォーリアーズも初期のころからデータ分析を活用していました。そして5年連続でファイナルに進出しました。ウォーリアーズが一貫して使っている作戦もまた、スリーポイントです。

2015年のプレイオフではカリーは、なんと、1980年のプレイオフですべての選手が決めたスリーポイントよりも多くのスリーポイントを一人で決めてしまいました。これはカリーがとんでもない選手だという事も表していますが、どれだけNBAの試合が変化したという事も表しています。

分析ツールの発達

データ分析がトレンドになっていくと、データを収集して可視化するためのテクノロジーもそれに合わせて進歩しています。

NBAはSTATSという企業と提携し、試合会場ごとに選手の動きを追跡する6台カメラを設置しました。これにより、分析を行うための詳細なデータの取得が可能となりました。

監督やコーチが相手チームの特徴に合わせたオフェンス戦略やディフェンス戦略を練ったり、特定の選手の動きをトラックする事でその選手の長所や短所、現在のコンディションを把握したりもできます。

上記は、ステフィン・カリーのシュート確率がリーグ平均と比べてシュートを打つ場所でどのように変化するかの表です。右45度がちょっと苦手なんですね。

データ分析によりこのような事が細かくわかります。

まとめ

データ分析主導のゲームはバスケットボールをただのスリーポイントコンテストにしているという批判もあります。しかし、データ分析にこだわりすぎてそのチームの特徴にフィットしないのにスリーポイントを打ち続けたとしてもそのチームはきっと勝つ事はできないでしょう。

データ分析は、ビジネスでもスポーツでも時代の流れとして、今後も主流になっていく事は間違いないでしょう。それをつまらないと思うか、分析して練り上げた戦略のぶつかり合いを楽しむかは人それぞれだと思います。

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