新型コロナウイルスがNBAに与える経済的影響

バスケ

新型コロナウイルスのパンデミックにより、米国のスポーツ界においても各所に多大な影響が出始めています。

米国のバスケットボールリーグであるNBAも、この記事を書いている3月25日現在、休止されています。

ユタ・ジャズのセンターのルディ・ゴベア選手が新型コロナウイルスに感染し、その後すぐにレギュラーシーズンの休止が発表されましたが、それ以前にジャズと試合をした他のチームの選手からも陽性反応が出ていてリーグの中でも感染が連鎖しています。

レギュラーシーズンが休止された段階で、まだ259試合が残っています。これはレギュラーシーズンの21%に相当します。最悪、シーズンが再開されない事を考えるとNBAの経済的な損失はいかほどのものになるでしょうか。

入場料収入の減少

NBAは、年間に約80憶ドル(8000憶円)の売上があります。この売上のほとんどはテレビの放映権料、関連商品売上、スポンサー契約、そして入場料収入から来ています。

※1ドル=100円で概算

一番わかりやすいのは、試合が中止になると、入場料収入が失われます。過去のデータによると入場料収入は、リーグ全体の収入の20%から25%を占めているそうです。

つまり、年間で16憶ドルから20億ドル(1600憶円から2000憶円)程度の収入になるという事です。もし、試合が再開される事無く今シーズンが終わってしまった場合、この収入の21%の試合の入場料収入がなくなってしまう事を意味します。

その影響は、3憶5000ドルから4憶5000ドル(350憶円から450憶円)にも及ぶと言われています。しかもこの計算は、プレイオフを考慮に入れていないので、プレイオフの影響を加味した場合には、影響はさらに膨らみます。

試合が無いことは、直接的な入場料収入だけでなく、試合の開催に伴うグッズ販売、フード販売、駐車場料金などにも影響を及ぼします。

これらの付属的な収入は年間で約8憶ドル(800憶円)ほどあるそうなので、レギュラーシーズンの残りがなくなった時の影響は1憶5000万ドルから2億ドル(150憶円から200憶円)に及びます。

また、試合が無くなることは、アリーナで働く人の賃金も無くなる事を意味します。アリーナには、警備、物販、調理など時給で働いている人たちが多くいます。時給労働者は試合がなくなると生活に直結してしまいます。

一部の選手やオーナーたち、例えばマーベリックスのオーナーであるマーク・キューバン氏やバックスのヤニス・アデトクンポ選手、ペリカンズのスーパールーキーのザイオン・ウィリアムソン選手、キャブスのケビン・ラブ選手は、試合が中断されている間のアリーナで働く労働者の支援を発表しています。

その他の影響

NBAの収入の、入場料以外の部分は、比較的に固定収入が多く安定していると言えます。例えばアリーナの名称使用権やスポンサー、そして大きいのはテレビ放映権です。

リーグの収入の過半数はテレビ局との取引から来ています。例えばESPNとターナースポーツとは2016年に9年間で240憶ドル(2兆4000憶円)の契約を結んでいます。年間で約26億ドル(2600憶円)にもなります。これ以外にも地方テレビ局との契約があります。

リーグとテレビ局の間の契約の内容によっては、今回のコロナウィルスの影響によるシーズンの休止により、テレビで試合を放映できなかった分の放映権料は削減または免除される可能性はあります。

そしてこれらの影響が最終的に、どこに及ぶかというと、選手の給料に及びます。選手へ支払う給料のサラリーキャップ(上限)は、リーグの計画収入に基づいて設定されていますが、実際の収入が当初の計画を大きく下回る場合には、翌年のサラリーキャップを設定する段階で、昨年の差異を埋め合わせる事ができます。つまり、サラリーキャップを減らす事ができるという事になります。

ただでさえ、今シーズンは、ロケッツのGMのダリル・モレーの香港デモに関するツイートのせいで中国での収入が減少しているなかで、今回にコロナウイルスによるシーズン休止ですから、来シーズンのサラリーキャップの減少は避けられそうにありません。そうなるとチームの編成にも大きな影響が出る事と思います。

あなたのお気に入りのチームのお気に入りの選手が、チームを去ってしまう可能性も出てくるので心配ですね。

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